言語聴覚士が行う検査~実際に行われている検査~
はじめまして、karashirenkonです。
昨日はスクリーニングに行う検査について説明させていただきました。
が、あとから面白くないものを書いてしまった…と少し後悔しました。
昨日書いたようなことは、教科書には書いてありますから。
このままの調子で書き続けていると教科書的な内容から抜け出せなくなると思いまして、
教科書には書かれていない、臨床現場の現状を絡めながら検査の説明をさせていただきます。
コロコロ趣向を変えてしまいすみません。
神経心理学的検査は数えきれないほどあります。
有名なものは保険点数が取れる(=保険診療として認められている)ものですが、
「あんな有名なのに保険点数取れないのか!」というものもあります。
他にも、一部分野では頻繁に行われているが門外漢には全くといっていいほど知られていないもの、
開発した研究グループしか使っていないもの、
などなど。
言語聴覚士の養成校では、有名どころの検査は一通り練習をします。
ところが、実際の現場で実施されている検査は、
昨日お伝えしたスクリーニング検査の他に、
(1)失語症の症状を細かく評価できる、標準失語症検査(SLTA)
(2)非言語性の知的機能を評価する、レ―ブン色彩マトリクス検査(R-CPM)
これだけだったりします(いずれも保険点数が取れます)。他にも、有名な検査で、保険点数が取れるものはたくさんあるにもかかわらずです。
なぜなのか?
一つは、言語聴覚士の勤め先である病院や施設などでは、神経心理学的検査用具をいくつもいくつも買ってもらえないことが多いということが挙げられます。
神経心理学的検査の用具というのは、なかなか高価です。
たとえば、上述の
(1)SLTAは検査セットだけで45,360円、
(2)R-CPMは検査テキストだけで21,600円もします。
さらに、知能検査として有名なウェクスラー知能検査(WAIS-III)はセット全体で140,000円を超えます。
※値段はすべて現時点のものです。
どれも開発に大変な労力がかかっているし、その利用価値を考えれば高価なのも仕方がないと思います。
しかし物品購入の許可をする人がリハビリ外の人物である場合、その価値はなかなかわかってもらいにくいものです。
たとえばSLTAの検査セットの中身を門外漢の方が見てみると、マニュアル本、絵や文字が書かれたファイル、文字の書かれた大小のカード、文房具セット、にしか見えません。
なぜこんなものがこんなに高い値段がするのか?
これ本当に必要??絶対に買うべきものなの???となるわけです。
SLTAとR-CPMは、失語症の患者さんの多くに実施することができる検査です。
保険点数も取れます。
そのため、SLTAは頻繁に使う検査です!保険点数も取れます!などと説得材料があります。
また、SLTAは養成校でも一番練習してくる検査ですから、言語聴覚士も自信を持って購入の必要性を訴えることができます。
しかしその他の検査となると、実施できる患者さんが多くなかったり、保険点数が取れなかったり、そもそも言語聴覚士自身もその検査に慣れていなかったりするため、説得の声もどうも小さくなりがちです。
その結果、多くの言語聴覚士が持っているのはSLTAとR-CPMだけで、その二つばかりを行うことになります。
その結果生じる弊害についてを明日書かせていただきます。